ひと 感染症対策の世界基金の戦略投資効果局長に就任した医師/共同通信(2013年3月6日)
世界エイズ結核マラリア対策基金(世界基金)は2002年に設立され、各国政府や民間財団、企業から2兆円以上の資金を集め、途上国の感染症対策を支援してきた。その資金提供の戦略を練る責任者に就任した。
「私自身びっくりしました」。ミャンマーやソマリアの紛争地や被災地で長年、医療支援に当たってきた。訪れた国は1|10カ国以上。「サム」と愛称で呼ばれ「医療支援現場のプロ」
とみられていた。「現場の方が楽しい。私の人生設計でもあと2、3回各国の現場で働くと思っていた」
世界基金の本部はジュネーブにある。「本部と現場の距離感をずっと感じていた。現場に足しげく通い、効果がより高い資金提供の戦略を考えたい。アイデアはいっぱいある」と意欲を見せる。
世界基金は2000年の九州沖縄サミット(G8)の議論が発端になって誕生。エイズなど三大感染症の感染率を下げてきた。初の日本人幹部としてその推進を担う。世界中の友人から祝福と激励のメールが届いた。
高校時代に「医者になってアフリカに行く」と決意、自治医大を卒業。その夢を実現した。行動力は抜群。東日本大震災|では急ぎ帰国、宮城県で一被災者支援に当たった。
外務省職員、長崎大教授を経て国連児童基金(ユニセフ)本部で勤務、じっくり対話して柔軟に決める手腕を習得した。
「患者1人ずつでなく、多くの人を助けたい。資金や薬、人材、政策、母子保健など全部ひっくるめ果敢に挑戦します」。栃木県生まれの53歳。(共同通信)