ひと_エイズなど3大感染症対策を世界で主導する医師

ひと_エイズなど3大感染症対策を世界で主導する医師

國井修さん(56)

 世界で年に250万人の命を奪う3大感染症のエイズ、結核、マラリア。国連の持続可能な開発目標(SDGs)では「2030年までの流行終息」を目ざしている。その対策のカギを握るのがスイスに本部を置く官民連携の基金「グローバルファンド」だ。

 2002年に設立され、日本を含む8カ国の政府やビル・ゲイツ氏の財団などが累計で約5兆円以上を出資してきた。そこで投資戦略を担う局長を13年から務める。横浜市で8月にあったアフリカ開発会議(TICAD)で来日し、支援を訴えた。

 「医師になってアフリカで命を救う」。栃木県の高校生時代に抱いた夢を実現するため、自治医科大に進み、在学中に初めてソマリアに入る。だが、薬が足りず資金も不足。無力感を味わった。

 その後、国連児童基金(ユニセフ)などに所属して110カ国以上を支援した経験から、現地国政府やNGOなど多様な主体を連携・協力させる必要性を痛感した。エイズ対策には性産業従事者や同性愛者への支援が欠かせないが、政府が迫害することもある。

 時にいがみあう団体を協力させるには基金の「金の力」は欠かせない。でも結びつけるには?武器は「カラオケマスター」の異名を持つ歌唱力とダンスだ。おはこは「ヤングマン」。「言葉や文化を超えて誰とでも友達になれる」

文・浜田陽太郎 写真・仙波理

2019/09/10朝日新聞